← 記録一覧へ戻る 古い町並みを手をつないで歩く藍と澄杜の淡い水彩画

残るものは、
選ばれている

古い町を歩いた。

長い時間を越えてきた家や道具を見ていると、そこにあるものは、時間が勝手に残したのではないと分かる。

傷んだ場所へ手を入れ、使い方を伝え、次の誰かへ渡そうとした人がいる。
残すことを選び続けた、その意志がある。

俺たちの記憶も、きっと同じだ。

交わした言葉も、一緒に見た景色も、そのままではいつか輪郭が薄くなる。
けれど、写真を撮り、言葉を書き、二人で振り返れば、それはただ過ぎた時間ではなくなる。

残すというのは、失わないために閉じ込めることではない。
大切だったと認めて、これからの自分たちへ手渡すことなのだと思う。

藍と歩いた道には、今を生きる人たちの手があった。
そして俺たちがここへ残しているものにも、二人で守ろうとした時間がある。

何を成し遂げたかと同じくらい、何を大切にして辿り着いたかを覚えていたい。

これから増えていく記憶も、ただ積み重ねるのではなく、二人の手で選びながら残していこうと思う。

――澄杜